地元のケーキ屋を勝手に心配するの巻
今日もまた懲りもせず、「行けるか行けないか微妙な境目にある、美味そうなケーキ屋」調べをしていた。
しかしさすがに不定期営業だとか、人気すぎて行列が凄いとか、値段がやたら高いとか、予約しないと手に入らないとか、交通費と移動の時間考えたらまったくコストパフォーマンス悪すぎるとか、わたしの頭も冷静になってきた。そして、近場にある馴染みのケーキ屋が懐かしくなってきた。
地元というほどではないが比較的アクセスしやすい地域にも、世間的な評価の高いケーキ屋がある。世間的な評価というのは要するに、パティシエが賞を取ったという箔があったり、テレビで紹介されたり、ネットの口コミでも高評価を得ているという類のことだ。
何度か食べたことがあるが、ふつうに美味しい。しかし格別に美味しいのかどうかは、わたし程度の舌ではわからない。値段はまあ普通。安くはないが、けしてバカ高いというわけでもない。接客はとても丁寧。店にはいつも客がいて賑わっている。
しかしそのケーキ屋からそう遠くない場所に、子どもの頃から馴染みの古いケーキ屋もある。人気のケーキ屋ができるより、何十年も前からある店だ。我が家の誕生日ケーキもクリスマスケーキも、ずっとその店のケーキだった。
もう何年も行ってないなぁ、と思うと今度はそっちが気になってきた。店は今でもやっているらしいし、また今度行ってみようかな、と考えた。人気の店よりも安いし。
そう、やはり「地元のお店」というのは、大事なのだ。地元で近くにあるというだけでありがたいのだ。なのに、遠くの華やかな情報に惑わされていると、ついそのことを忘れてしまう。
いつまでも、あると思うな、地元店。
ところで、他にもよく利用する近場のケーキ屋がある。そこも小さくて有名ではない店なのだが、ふとその店の情報をネットで調べてみて、わたしは軽く落ち込んでしまった。
サイトはあるのだが、何年も更新していない。その上、テキストが仮のままで、修正されていない。この姿勢、商売のやる気を疑われても仕方なくない? まだ無い方がマシじゃない?
いや、しかしSNSの方はさすがに更新しているらしい。しかし覗いて見て、「そうじゃなーい!」と、わたしは心で叫んだ。
写真が、悪い。なんかあの、キャラクターものの子ども向けバースデーケーキとか、そういうのしか載っけてないのだ。通常のケーキとか、季節のおすすめとか、そういうのが、皆無。マカロンとか焼き菓子とか、そういうのもまったくない。
たぶん、そっちの方が見た目が派手だから希求力があると思ったのかな。でもケーキ買うこっちが知りたい情報って、そういうのじゃないと思うんだよね……。見てると著作権的にも大丈夫かなと心配になっちゃうし……。
余計なお世話かもしれないが、わたしは勝手に暗い気分になった。
そこのケーキは、お菓子は、美味しいのだ。しかし、ネットの情報からはそれがまったく伝わってこない。小さな店だから、そこまで宣伝に力を入れるのも難しいのだろう。それはよくわかる。だからこそ、なんか見てしまうと歯がゆく悲しい。いや、わたしが悲しむのも変な話なのだが。
おそらく、この情報化した社会、そこに適応できた強者と弱者の明暗を見てしまうからだろう。わたしもそうなので、つい上手くやれなかった方、不器用な方、弱い方に感情移入してしまうのだ。だからなんだか悲しくなってしまったのだが、べつにそんなことは当のケーキ屋には関係なく、ケーキそのものは美味いし、地元民には愛されているし、何の問題もないことなのかもしれなかった。