後悔記

今のところ、宛てのないブログです。

雪が降った次の日の景色は眩しい

 雪が降ったあとの道は、歩くのが難しい。シャーベットのようになっているところ、水たまりになっているところ、氷状になっているところが、モザイクになっている。屋根の上の雪が溶けて、小さな滝のように落ち続ける音があちこちで響いている。

 雪かきをした家と、してない家の前の道は、線が引かれたようにはっきりとしている。空き地の前は、当たり前のように積もったままだ。そうして見えないものが可視化されているのは、ちょっと面白いなと思う。

 通り過ぎた墓石の墓地も、雪が積もっていた。灰色の石と白い雪のコントラストは、意外に絵になる。コンビニに着くと、店員が店の前の雪かきをしていた。客が「大変だね」と声をかける。たまに雪が降ったというだけで、いつもとは違う景色を見聞きするのは新鮮だ。

 わたしはコンビニでサンドイッチを買った。いつものミックスサンドだ。サンドイッチは気になる新商品も他に並んでいたけれど、ミックスサンドは三種類入っているのでお得に感じてしまう。玉子と照焼チキンのサンドイッチも好きなんだけど、考えてみたら親子丼のサンドイッチバージョンじゃないか、と今気づいた。

 ブルボンのトリュフチョコも買った。安くて美味しい。しかしこれを見ると、数年前に父親の付き添いで病院に行っていたことを思いだしてしまう。べつにこのチョコを買って食べたのは、そのときばかりではないというのに。忘れてもいい記憶なのに、脳みそにフックが出来てしまっている。あの待合室の、空気中にチカチカとするものを、心を殺して見ていた時間。とくに興味もないポスターを眺めながら、待ち時間、わたしはこのチョコを一人で食べていた。

 そういうことは、覚え続けていてしまうのだろう。

 こんな日は、さすがに衝動的にどこかへ行きたい気持ちも湧いてこない。ドラッグストアに寄って、コンタクトの洗浄液と歯ブラシも買った。爪が割れやすいのでネイルケアの商品も気にはなったが、高いな、と思うと買う気はなくす。

 家に帰ると、我が家の屋根からも水が流れ落ち続けているのが見える。はやく溶けてすべてなくなってしまえばいいな、と思う。