後悔記

今のところ、宛てのないブログです。

苺餡と道明寺

 家の戸棚にあったお菓子をよく確かめずに食べてみたら、苺味の餡が入った饅頭だった。苺饅頭、初めての味である。

 苺大福なら何度か食べたことはあるが、あれは大福のなかにフレッシュな苺が包まれているという菓子だ。餡子のねっとりとした濃い甘みと、苺のみずみずしい酸味が口の中であわさるのが美味しい。

 しかし、苺餡というのは……いうのは、正直微妙であった。

 いや、けして不味くはない。苺のイメージを押し出した赤いパッケージに恥じることなく、餡もピンクがかっていて、苺の風味もあった。苺味のチョコなら昔からあるのだし、苺味の餡があったって悪くはない。わたしはみかん味の餡子玉とか、けっこう好きだし。

 しかし餡子の主成分というか、主役は断然、豆なのである。豆にも色々ある。小豆だったり、白インゲンだったり、うぐいす豆だったり。それらとフルーツをどのように組み合わせるか考えると、けっこう奥が深くなりそうだ。

 しかし、苺餡……ほのかに苺の風味香る、甘酸っぱい餡子。うーん、うーん……。正直、この饅頭のみの感想を言えば、次回はもう食べなくていいかな、と思った。

 そして今日はひな祭りだったので、道明寺を食べた。家族がスーパーで買ってきたものだが、関東風の桜餅と、関西風桜餅である道明寺が、二個ずつ入っていた。

 わたしが子どもの頃は、関東風の桜餅しか食べたことがなかった。調べてみたら、そっちは「長命寺」と呼ぶのだそうで。知らなかった、へー。

 どちらも塩漬けの桜の葉が巻いてある。昔はこの葉っぱが好きではなくて残していたけれど、大人になってからは塩気や風味があって良いな、と気にせず食べるようになった。セロリと同じである。子どもの頃はなんとなく苦手なイメージを持っていたし好きではなかったが、食べてみると「あれ、意外にいけるな」と認識を改めることになった。

 道明寺は、お米の食感が残っているところが好きで、長命寺と道明寺の二択でどっちかにするとすれば、ほぼ道明寺を選ぶようになった。餡子は、ふつうの餡子であり、やはり苺餡よりも口に入れてしっくりくる。

 昔は近所の和菓子屋さんで桜餅を買っていたが、その店ももうなくなってしまった。寂しい時代の流れである。その代わり、子どもの頃には見当たらなかった道明寺を食べ、たまには苺餡なんて変わり種も食べられるようになったのだ。