後悔記

今のところ、宛てのないブログです。

汁なし担々麺の辛味

 冷蔵庫の中に余っていたというだけで食べてしまった汁なし担々麺が、予想以上に辛かった。麺を茹でたあとにかけた付属のソースが、やたら赤い時点で警戒すべきだった。わたしは辛いものが苦手なのだ。

 しかし、食べてみると味は美味かったので、完食した。人気のある店の味を再現したとかいう系のやつらしい。

 食べ物の辛味にも色々とあるが、わたしが苦手なのは、唐辛子の辛味だ。唐辛子の辛さは舌をヒリヒリと痛めつけて、味がわからなくなってしまうので苦手なのだ。味がわからなくなると、もはや食べても「不味い」ではなく「口内が痛くて味がしない」という状態になる。家族は辛いものが好きなので、この状態を理解してもらうまでに時間がかかった。

 辛いものを「美味しいのに」と言われても、こちらは困るのである。美味しいも何もない。辛いと舌がやられて味がわからないんだっつーの、と何度も説明することになる。

 それでもたまに、「あ、辛いけど美味い」という料理は存在する。他の香辛料とか、味付けのバランスが肝心なのだろう。とくに中華料理は、その差が激しい。母が昔、ある有名なシェフのレシピで麻婆豆腐を作ったら、辛いけれどとても美味しかったので驚いたものだ。その麻婆豆腐は、唐辛子だけでなく花椒(ホワジャオ)を使っているのがポイントなのである。

 わたしは唐辛子は苦手だが、胡椒や山椒はむしろ好きだ。というか、胡椒はたしかにピリリと辛味を感じるが、山椒をあまり辛いと感じたことはない。そして花椒は、辛いと感じる前に、喉に刺激がくる。無防備に食べると、噎せそうになる。辛味、というものでも、口内での感じ方がまったく異なるのは面白い。

 花椒のきいた麻婆豆腐は、辛くても美味しかった。(まあ花椒だけではなく、醤の配合などもあるからだろうが)口の中に含んだだけで、喉の奥が刺激されて、ゲホゲホと咳き込みそうになるのに、それでも唐辛子のように舌が痛くなることはないので、苦手意識はない。

 そう、今日の担々麺も、たぶん花椒を使っていた。それ以外にも色々使っていそうな、濃い甘みも感じる珍しい味だった。食べ終わると、口の中はヒリヒリして水を飲まずにはいられなかったし、ズルズルと鼻水が出てきたけれど、美味しかった。

 でもわたしにはやはり辛すぎたので、次はもうちょっとマイルドなやつを食べたいと思った。もしかしたら、付け合わせの野菜が少なすぎたのかもしれない。パッケージにお薦めされていた野菜はチンゲン菜だったが、なかったので、小松菜を代用したのだ。あの味付けの濃さからしたら、もっと多くの付け合わせがあることが想定されていた商品だったのかもしれない。

 麺を茹でて、付属のソースをかければいいだけと、調理を甘く見ていたことも辛すぎた原因のひとつだろうか。