後悔記

今のところ、宛てのないブログです。

黙ってテレビ

 今日は親類が甥っ子を連れて遊びに来たので、夕食は彼の好きな甘めの挽肉カレーライスだった。わたしは辛いものが苦手だが、わたし以外の家族は辛いものがけっこう好きだということは以前に書いたが、さすがに幼い甥っ子が食べることを考慮した日のカレーは、マイルドである。

 すこし情けない感じもするが、甘口カレーが好きなわたしにとっては、恩恵である。家族は遊びに来る甥っ子にサービスしても、いい歳した大人のわたしに対しては、日々容赦なく中辛カレーだからだ。

 甥っ子は、最近は『サザエさん』を見ているらしく、わたしたちが雑談していたら「うるさくて音が聞こえないから黙ってて!」と言われてしまった。その気持ちはよくわかるので、わたしは「ごめんね」と黙った。

 テレビを集中して見たいと思っているのに周囲がうるさかったり、どうでもいい話をされるのは、わたしも苦痛だった。なので、自分が話したいことがあるときには、CM中などタイミングを考えて話すようにしていた。

 しかし、家族があまりそうした配慮をしてくれたという記憶はない。こちらから「今はテレビを見たいから」と言えば理解してくれる身内もいたが、他の身内は不機嫌に怒るときもあった。つまり、わたしがその手の気遣いを身につけたのは、わたし自身がされたくなかった経験からきているのだろう。

 テレビを見ながら雑談を楽しむこともあるが、ある日、薄い壁の向こうで家族が寝るころだと気づき、わたしは、もう遅いしそろそろ話をとめて静かにしよう、と身内に示したことがあった。すると、身内の顔はみるみる不機嫌になり、今度はふて腐れたようにこちらを無視する、という不可解な対応をされたりした。ちなみに、当時の身内も幼い子供ではなく、いい歳した中年である。

 あれは腹が立ったし、何度考えても意味がわからない。まあ、そんな感じで、わたしは自分がされたらコレは嫌だなぁ、という態度を散々身内らから学んだのだなという気がする。そのせいか、たまにその身内らにすら、わたしは無駄に気を遣いすぎるみたいなことを言われる始末だ。誰のせいだ。

 こっちだって、そんなビクビク家族という他人に気を遣って生きたくなんかなかったけれど、気を遣わないとお前らすぐに怒ったり不機嫌になって面倒くさい態度になるだろ、と言いたいけれど言えずに云十年である。いや、それに近いことはぶっちゃけたかもしれないが、それで何かが変わったりもしていないので同じことだ。

 今は幼い甥っ子も、やがて家族間のそうしたディスコミュニケーションの当事者になってしまうのだろうか、と後ろ向きな自分はついつい考える。