後悔記

今のところ、宛てのないブログです。

忘れた頃に雨は降る

 図書館へ本を返しに行った。返却期限は明日だったのだが、天気が荒れそうなので今日行くことにした。微妙な天気ではあったが雨は降っていないし、上着を羽織ればまだそれほど寒くはないから大丈夫だろうと、自転車を漕いだ。バス代を節約するためである。

 目的地までは、片道およそ二〇分。数年前までは、自転車で走りやすいという理由で別のルートを走っていたのだが、三〇分はかかっていた。ネットで地図を睨んでいるうちに、「あれ? わたしがいつも通ってたルート、かなり遠くね?」とようやく気づいた。情弱の悲しみ。以来、たとえ何十年と暮らした地元であっても地図を確認するのは大事だな、とようやく学んだのだった。(しかし、地図だけで見ていたら素直な直線に見えていたのに、実際に走ってみたら「こんなん自転車の通る道じゃねぇよ!」というケースもあるので、行ってみなければわからない)

 いつもの駐輪場に着くと、「天気も悪いしとっとと本を返して今日は早めに帰ろう」とかこのときは思っていた。本当だ。帰る前にスタバにでも寄っていこうか、くらいは考えていたけれど。

 なぜわたしは、また本を四冊も借りてしまったのか。

 せっかく図書館まで来たんだし、何か面白そうなためになるような本があるかもしれないのに、このまま帰るだけというのも勿体ない、などといつもの欲というかケチ臭さを発揮したのがよろしくなかった。おかげでわたしの読書履歴は統一性がない。乱読である。そのときの気分で選ぶので一貫性がなく、読んだものをあまり身につけずに終わる。

 一冊「あ、これは前から読みたいと思ってたやつ」と手に取って、ついでにその周辺の本も手に取り、「あ、この作者は前に読んで面白かったし、さらっと読めるから借りよう」「あ、これは若者向けっぽいけどちょっと気になる情報が入ってそう。ついでに借りてみるか」「あ、この作者の本積んでるけど、このジャンルの本も書いてたんだ。読んでみようかなぁ」――と、気がついたらまとめて手に取っていた。

 おかしい。こんな予定じゃなかった。

 まあいいや。せっかく図書館に来たんだから、たまには多めに借りたっていいだろう。肩に食い込んだバッグが微妙に重いが、そのままスタバへと赴いた。キャラメルナッツのケーキを食べ、「美味い。タルトよりは安いし、甘いもの食べたくなったらもうこれでいいんじゃないかな」とか考えながら、ちょっとした作業をしたり本を読んだりして過ごした。

 そこまでは、まあよかった。一度駐輪場へと戻り、そこでまたわたしの「どうせならついでに……」の貧乏性が発揮されてしまった。とくに目的があるわけでもないのに、近くの商業施設に寄ってみようかと思ってしまったのだ。

 バッグも重くなっていたというのに、結局それから二時間近くふらふらと店内を物色し、文具やら書類整理やら収納やらのことを色々悩んだ挙げ句、A4のクリアファイルを買った。そして、「外も暗くなってきたな、さあ帰ろう」と店を出ようとして不穏な気配がし、雨が降っていることに気づいたのだった。

 わたしは二〇分、暗くなった道を雨に濡れながら自転車を漕ぐ羽目になった。