寝るのが下手くそ
もう十二月になったというのに、掛け布団が秋仕様のままだったので寒さで寝付けないという現実を受け入れ、あれほど面倒くさがっていた、毛布をクローゼットの上段から下ろしてカバーをつけるという作業を、午前四時半に行う羽目になった。
温かくはなったが、布団の重みと枕の高さが体に馴染んでいないからか何なのか、寝ている間に頭が痛くなり、目が覚めるたびに「うう、頭痛い」と姿勢を変えて寝直し、それでもやっぱり頭が痛い状態で起きることになった。
まともに寝るって、難しい。
寝るのに二時間も三時間も鬱々としながら泣いてたりしたあの頃に比べればマシだ、と自分に言い聞かせるが、それでもやっぱり自分の寝方は上手くないと思う。何が悪いのだろう。たぶん、脳みその使い方自体に問題があるんじゃないだろうか。
まず床につくと、すぐに妄想というか空想を始めてしまうのがよくない。楽しいことならまだいいが、嫌なことを掘り下げてはそれに対してムカついたり悲しんだり、なんでこれから休もうっていうのに自分でストレスを溜めていたのか、今から考えるとまったく意味がわからないが、長年それが自分の入眠スタイルみたいになっていたから、自覚するまでは無意識だった。怖い。
つまり、ストレスになるようなことを考えてしまう、というのは脳の癖なので、その癖は「やらない」ように自覚して治さなくてはいけないものだった。というわけで、それに気づいてからはなるべく無意味なものを想像している。意識の置き方はなんとなく、鼻が伸びるような感じをイメージすると寝やすい気がする。
考えないようにする、意味あることを考えないようにする。
でも考えちゃうよね、ふつう。
人間とはなんという歪な生き物だろう。意識しないとまともに寝ることすらできないのか。いやもしかして、単純に枕が体に合ってないからなのかもしれないけど、買い換える予定は特にない。
最近、睡眠の質が悪いとアルツハイマーになりやすいという情報を目にして、わたしは単純だからビビってる。シナプスがかなり衰えている、というかまともに使われてないような自覚はある。怖い。悲しい。もはや諦めすら湧いてくる。
手作業や、知的な作業をすると脳にはいいらしい。知ってる。そんなん知ってる。でも、やる気が出ない。好奇心がない。希望もない。しかし、どんな人でも病気になるときなる、という人もいる。そう、予防は予防で、絶対ではない。それもこの世の真理だろう。努力や労力は無駄ではないが、必ず報われるということもない。自然界には、公平も不公平もありゃしないのだ。
ん? なんかまた話が飛んだな。まあいいや。
寝たら寝たで、また変な夢や嫌な夢や疲れる夢を見たりするし、人間のつくりというものはやはりこう、納得のいかないものを感じる。感じたってどうしようもないが。