後悔記

今のところ、宛てのないブログです。

排水口トラブルにキレそうになる聖夜

 本日はクリスマスイブなので、我が家でもチキンやケーキを食べた。昨日はわたしの誕生日としてケーキを食べたので、この時期は二日連続でケーキを食べることになり、体重が心配だ。

 しかし、何でケーキって苺のヘタが付いたままなんだろう。昨日食べたケーキに乗っていた苺も、ヘタが付いたままだった。見栄えのためなんだろうけど、取ってくれた方が食べやすいのだが。

 

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 ケーキを食べてカフェオレを飲んで、フィギュアスケートをテレビで見ながら、グラブルをやるという平和(怠惰)なひとときを過ごし、風呂に入ったところでそれは起こった。

 風呂には排水口があり、そこの掃除はわたしが定期的にやっている。タイミングはとくに決まっているわけではなく、目視で汚れ具合を確認しながら、やる気になったときにやることにしているというだけである。

 前に掃除したのはいつだっか忘れたが、けっこう間が空いてしまったし、そろそろやなねばならないと思っていたので、今日やってしまおうかと思ったのだ。上蓋を外し、その中にある……なんというのか、なんかドロドロしたものが付着しやすいパーツがあるので、それを外して洗うのである。

 しかし、今日はそのパーツが外せないのである。きつく締まりすぎていた。おかしい。いつもは軽くくるっと回すだけで外れるパーツなのに。わたしは洗い終わってパーツを戻すときも、締めすぎないとように気をつけている。ではおそらく、わたしがここに手を付けない間に、家族の誰かが締めてしまったのだ。わたしには、その心当たりがあった。そしてブチキレそうになった。

 あいつか! またあいつか! いい加減にしろ何度同じことくり返せば気が済むんだ! ああべつに気なんて済まないよな! だってこれからも同じこと死ぬまでやり続ける気満々だもんな! そしてわたしがその後始末をすることになるんだ死ぬまで!

 と、どう考えても平静を失った精神状態で、そのパーツを外そうと思いっきり力を込めるが、動かない。びくともしない。ギチギチに締まっている。

 その反応が無慈悲なほど動じないことに、わたしは猛烈な怒りとストレスに心身が支配されていくのを感じた。久しぶりの感覚だった。やばい。この感覚はやばい。そう思ってもどうしようもない。これまで蓄積された怒りと恨みと焦りで、体が落ち着かない。おもわず感情的な声が口から洩れる。普段のわたしは独り言というものを発しない。相手もいないのに声を発するということに意味を感じないし、他人の独り言を聞くのも苦手でビクッとする。しかし、どうしても感情が迸ることで洩れてしまう心の声というものは、ある。

 怒りは、感情の記憶によって増幅される。感情は意思を越えて蓄積されているのだ。

 世間で事件やトラブルがあったとき、よく「そんな些細なことでキレるなんて」と評されることがある。わたしも同じような感想を言うときがある。他人事だからだ。しかし、おそらくそれは当事者にとって、「些細だからこそ、それがままならないこと、平穏が壊されることを許せなくなる」のだ。誰もが理解し共感してくれるような重大事ではなく、きわめて個人的だったり些細だったり日常的だったりするトラブルに遭遇したとき、カッとなった頭は「何が何でも今すぐにここで解決しなければ許せない」という状態になる。というか、わたしはそうなっていた。

 まあ結果から言うと、一度風呂から上がって髪を乾かし、コンタクトを外し、歯を磨き、改めて決意し排水口に向き合い、回す方向を確認して指をかけ、思いっきり力尽くで回すことによって事態は解決した。

 結果から見れば、それは実に普通の、平凡で日常的なトラブルと解決に見えるだろう。しかし、人の精神状態のなかで起こっているのは、けしてそんな客観的な事態の推移ではないのである。

 正攻法で解決したからよかったものの、実際にそれが成功するまでのわたしの精神状態と思考回路というものは、酷いものだった。わたしの脳内では、業者を呼ばなければならないだろうかとか、パーツを買い換えないといけないだろうかとか、この件を相談した家族がまた更に余計なことをして事態が悪化しないか、そのせいであいつの精神状態がまたおかしくなって更なるトラブルにならないか、また数年前のような地獄の年末年始状態になるのかとか、そういう過去に蓄積された不安がぶわっと湧いて、満身を支配していた。

 これを放置したら、確実に精神状態がおかしくなる。それがわかっていたので、わたしはもう何が何でも今すぐに、その事態(排水口のパーツが外せないというだけのこと)を解決しなければならない、と追いつめられていた。

 そして現金なことに、解決した途端にその満身に膨らみきった負の感覚は、ふっと消えてしまうのである。

 クリスマスに長々と変なことを書いてしまったが、短い間に自分でもばかばかしくなるくらい感情が乱高下してしまうという厄介な現象を、明文化して記録しておきたいと思ってしまったのである。

 いやー、ほんと解決してよかった! メリークリスマス!