セルフケアはめんどくさい
冬の寒さも本格的になってきたので、そろそろ手にクリームを塗らないといけないな、と毎年同じことを考えている気がする。しかしわたしはあまりハンドクリームというものを使う習慣がないので、皮膚に対する油分の補給はすべてニベアで済ますのだった。
ニベアに不満はないけれど、たまに「……いわゆるハンドクリームって、クリーム的に何が手に特化してるというのだろう」と、ちょっと気になるときはある。世の中にはたいへんに沢山のハンドクリームがあるからだ。
わたしは子どもの頃からけっこう長い間、手荒れというか湿疹に悩まされてきた。そのときに塗らなければならないものはステロイドなので、あまり一般的なハンドクリームというものを使ったことがない。一時、手荒れに効果があるかと軟膏なども塗ってみたが、悪化してつらいことになったりしたので、なんとなく新しいものにチャレンジする意欲も湧かない。
しかし近年はそれが治ってきたので、そうか、ハンドクリームというものを使ってみてもよいのだよな、と気づいた。でもたぶん、使わないし買わないだろう。
治ってきたというものの、また環境の変化や何かのきっかけで再発することもあるかもしれない、と考えてしまう。クリームの成分が合わなかったりしたら、金の無駄だし勿体ないしな、と思うと保守的な気分になる。というか、「めんどうくさい」と思ってしまう。
自分自身をケアするのに「めんどうくさい」と思ってしまうのは、よくない兆候なのだそうだ。そうだろうな、と思う。
人間はただ生きているだけでも、毎日細かいケアというかメンテナンスが必要な生き物だ。飯を食べて、歯を磨いて、風呂に入って、頭を洗って、衣服も部屋も清潔に保って、たまには運動もして、精神のためには娯楽も摂取して、新しいものに触れて脳を刺激して、指先を動かして神経を使って、記憶力や言語能力のためにインプットしてアウトプットして……。
でも、そういうのを「めんどうくさい」とも思わずに日常として日々を過ごせるとしたら、実はかなりすごいことなんじゃないかなという気がする。
自分で自分をケアすることが苦にならない人って、そんなにいるんだろうか。いるのかもしれないけれど、想像がつかない。