後悔記

今のところ、宛てのないブログです。

駅まで行って帰った話

 たまにしか行かない場所へ行くと、ほんの数時間でも色々な変化や気づきがあるな、と感じる。具体的にいうと、気分転換がてらにウォーキングでもしようと、駅前まで歩いて行ったのだった。

 部屋の中にいると、ダメだ。思考が腐る。とくにネットなんてし続けていると、結局似たような話題のサイクルでグルグルと回って数時間平気で経過していたりする。まだゲームでもしていた方がマシな気がするけれど、これはこれで大いに退廃であり、後々虚無感に囚われてよろしくない。

 やはり体を動かさなくては。強制的に場所を移動し、吸う空気を変えなくてはどうしようもないという焦燥に駆られる。まあ、これもいつものサイクルです。

 そんなわけで、読みかけの文庫本も持って、駅へと進む。冬なので寒い。小学校の前を通る。見守りの人に挨拶されたので、会釈する。なんかぎこちない動きになっていなかったかな、大丈夫かな、と一瞬だけ不安になる。そのまま歩く。橋を渡る。狭い歩道から少し逸れた土の上に、もふもふとした猫のぬいぐるみが転がっている、と思ったら死体だったので、わたしは動揺した。動揺したが、そこで足を止めたり様子を確認することはなかった。ただ「あっ」と思って通り過ぎ、そのまま先へ歩いた。

 駅前は開発が続いていて、あちこちで建築工事をしている。しばらく経てば、また景色も色々と変わるんだろうなぁ、と考える。昔はわたしの背丈よりも大きな雑草だらけの空き地が多かったけど、それもだんだんと埋まってきている。ひらけた風景は壁に遮られて、分断される。

 駅について、最近新しくできた飲食店を眺める。値段を確認して通り過ぎて、商業施設に入る。駅前だというのに、相変わらず空き店舗が多い。本屋に入るが、あったら買ってもいいかなと考えていた本は、そこにはなかった。前より売り場を縮小していたから、期待はしていなかった。ついでに文具コーナーにも寄るが、ここもあまり品揃えはよくない。それでもついつい寄ってしまう。習性のようなものだ。

 そこでちょっと気になっていた、フリクションライトとフリクションポイントを試し書きしてみたが、インクの感じが自分の用途には合わない気がした。とくにフリクションポイントのブルーブラックは「え、こんな薄いの?」というくらい頼りない濃さだった。まあ、この淡い感じがいいという人もいるのかもしれない。

 そんなわけでとくに得るものはなく、わたしはマクドナルドで一服することにした。頼んだのは、チーズバーガーとキャラメルラテ。キャラメルラテは260円で、チーズバーガーの倍の値段がするんだな、と気づいた。チーズバーガーは安くて美味くてありがたい。

 最近、業績を回復したマクドナルドとモスバーガーの比較記事やニュースなどが目に入ったが、そういわれるとモスバーガーは行かないなぁと考えた。とくに倦厭しているわけではないのだが、場所的にも値段的にも居心地を考えても、どうしてもマクドナルドの方が利用しやすいのだ。

 ああ、なんかどこに行っても景気のことを考えてしまうのも、むだに脳みそが空回ってるんじゃないのと思えてくる。

 そこでしばらく本を読んだり書きものをして、暗くなった夜道を歩いて帰ったのだが、さすがに寒くて耳が冷えた。帰りに、またあの猫の死体を見てしまうのかなぁ、とちょっと覚悟して同じ道を通ったときには、猫はもういなかった。ホッとすると同時に、その呆気ない結末に、わたしは自分の見たものの記憶を疑いかけた。

 いや、でも見たのだ。そう言っても、それを証明するものはないし、する必要もないことだった。