後悔記

今のところ、宛てのないブログです。

魚の名前を思い出せない

 魚料理を見分けるのが苦手である。

 とくにイワシが、何度食べても覚えられない。アジも怪しい。カツオはたたきならわかる。サバは味噌煮ならわかる。サンマはわかる。ブリもわかる……と、思う。ハマチとブリの違いは、おそらくわからない。

 そもそも、魚は種類が多い。肉はだいたい、牛、豚、鶏、と三種類で済むのに。

 食事記録をつけるときに、何を食べたのかわからないと困るので、恥を忍んで家族に「えーと、コレ何だったっけ?」と訊くのだが、イワシに関しては何度も訊いているため、「ほんとに覚えられないね」と言われる。事実であるので仕方ない。本当に、自分でもなんでこんなに覚えられないのだろうな、と思う。

 「ゼイゴがあるのがアジだよ」と解説されたりするのだが、料理されているときは取り除かれている鱗で教えられても困るのだった。わたしが判別したいのは食材としての魚の種類であって、生き物としての魚ではなかった。

 キンメダイの煮付けかと思ったら、アカウオだったときもある。これも食べても気づけない。記録にはついキンメダイと書いてしまったが、実はアカウオだったということもあると思う。

 さすがにマグロやシャケ、タラやカレイはわかる。ただ一部の魚の区別が付かないというか、食べても名前がパッと頭に浮かばないのだ。

 今日食べたのは、小さなイワシの丸干しだった。なんとなく、丸干しの形で出てくる物はシシャモと脳みそに擦り込まれているため、あきらかにシシャモとは違う魚が出てくると、「あれ……あれ? 何だっけアレ……」と混乱する。

 しかし、「イワシのつみれ」は食べるとすぐにわかる。子どもの頃から食べてきた魚のつみれといえば、イワシだからだ。なのに、丸干しで出されるとわからない。原型を止めないつみれは、すぐに「イワシのつみれ」と思い出せるのに。

 そう、開きのフライで出されれば、アジだと思う。味噌煮が出てくれば、サバだと思う。大根と一緒に煮ていれば、ブリだと思う。魚の種類は、料理とセットで覚えてきたので、その対応が記憶とズレると、魚の名前が思い浮かばないのだ。

 ちなみに、イワシは漢字では鰯と書くのは、子どもの頃に読んでいた漫画で「さかなへんに弱いと書いて鰯」と描かれていたのを。何十年と経っても覚えているのである。人の記憶の仕組みは、むずかしい。