後悔記

今のところ、宛てのないブログです。

夢から覚める夢

 春分の日だったというのに、まあ、寒かった。寝ていても、空気がひんやりして、寒いということがわかった。そのせいだろうか、変な夢を見た。

 わたしは夢の中で目を覚ました。正確には、目を覚ます夢を見た。そこはおそらく友人の部屋で、わたしは泊めてもらったという状況らしい。わたしも友人も、予定があるので、出かけなくちゃならない。準備をしようとするが、なんだか上手くいかない、みたいな夢だ。

 そうこうしているうちに、わたしはまた夢の中で目を覚ました。そこはわたしの部屋だった。現実のわたしの部屋とは様子がちがっていたけれど、夢の中のわたしは、そこを自分の部屋だと認識していた。そして、「ああ、誰だかよくわからない友達の部屋に泊まっていたというのは、夢なんだな。わたしは目が覚めたのか」と思った。寒いからか、枕元に温風の吹き出る暖房器具が置いてあった。時計を見ると、夕方の五時過ぎである。いくら何でも寝過ぎたな、とちょっと焦る。

 そしてまた、別の部屋で目を覚ました。また友達の部屋である。しかも、今度は人数が増えていて、三人で同じ部屋に雑魚寝しているという状況だった。わたしは、「ああ、自分の部屋で起きたと思ったのは、夢だったんだな。そういや、わたしの部屋にあんな暖房器具なんてないし、いくら何でも五時過ぎまで寝てるということはないよ」と思った。その友人の部屋のベッドは、寝心地がよく、わたしはなかなか起きられなかった。友人はソファのようなところに寝ていて、ベッドを借りてしまって悪いなぁと思った。そのまま横になっていると、三匹の猫がやって来て、わたしの手をペロペロと舐めた。

 もふもふして可愛いけれど、三匹が同時に群がってきたので、ちょっと気持ち悪さも感じた。たぶん、非現実感がそう感じさせた。

 そして、その次にようやく、今度こそ本当にわたしの部屋で目を覚ました。

 現実に目が覚めてみると、寝ている間に縒れた布団の心地の悪さとか、ひんやりとした空気とか、まったく違和感のない光景の生々しさは夢の風景とは段違いなのに、夢の中のわたしは、何度同じことを繰り返してもそれに気づけない。夢の中で目が覚めるたびに、「今度こそ現実だ。わたしは夢から覚めた」と思っている。

 これは「起きなければいけないと頭では思っているのに、体がどうしても寝たい」ときによく見る夢のパターンだ。

 顔にあたる、久しぶりの冷たい空気に「あー、起きられなかった原因はこの寒さか」と納得がいった。時計を確認するときは、ちょっと不安になったけど、さすがに五時過ぎということもなかった。