後悔記

今のところ、宛てのないブログです。

ドロドロと向き合う

 事前に予報で暑くなるとは聞いていたが、本当に暑かった。昼間は部屋の窓を開けていても室温は三一度で、まだ四月だというのに冷房をつけたくなった。夜になって、ようやく涼しくなったときには、ホッとした。

 ただでさえ苦手な作業なのに、暑いともう昼食を作る気が起きない。昨日の残りの炊き込みご飯と、煮物だけですませた。炊き込みご飯は、タケノコとグリーンピースが入っている。煮物は残りものなので、タケノコと糸コンニャクしか残っていなかった。しかも、やたら糸コンニャクが多かった。

 そして今夜の晩飯も、タケノコの炒め物と、タケノコ入りのつくねハンバーグなのである。そう、春なのでタケノコをもらったのだ。まだ春なのだ。タケノコは美味い。しかし、気温はもう初夏である。昼食に手を抜いたのでタンパク源が足りず、つくねがやたら美味く感じた。自分の身体が動物的であると感じるのは、こんなときだ。

 風呂に入り、久しぶりに排水口の掃除をした。クリスマスイブに愚痴った記事を書いたことを思い出す。どうやら、身内はあれ以降ここを掃除しているようにも思えなかったのだが、開けてみると、底のパーツが弛んで浮いていた状態だった。「……あー、あのとき、きつく締まって外せないって言ったからといって、こんなユルユルの状態で放置しておくって、嫌がらせかよ」と、気持ち引いたけど、べつに悪意はなく、加減というものがドヘタクソなだけの結果なのかもしれない、とも思う。

 悪臭とドロドロを堪え、わたしはそこを掃除した。なんかもう、最初はクリーム色だったはずのプラスチックのパーツが、完全に際どい緑色に変色していた。本当はもっと頻繁に掃除しないといけなんだろうが、我が家はリフォームする以前は、こんな細かいところの掃除がいちいち必要な風呂ではなかったのだ。古くて、大雑把なつくりだったため、管理もシンプルで手間がかからなかった。だから家族も、こうした細かいところを定期的にメンテナンスするという習慣もなければ、知識もない。しかし、リフォームで環境が変わってしまったために、キッチンも洗面台も風呂も、換気扇も皿洗い機もトイレも、メンテナンスの手間が増えて、面倒になってしまった。

 リフォームを主導したのは母だったが、具体的に家の細部をどうするというビジョンをまったく持っていなかったので、風呂もキッチンも洗面台も、工務店任せだったのだ。過ぎたことを悔いても仕方ないとはいえ、以来、わたしはものすごく憂鬱である。ものごとの細部をあまり気にしない母、細かいところまで自分の思い通りにしないと気が済まないが、けして器用でも論理的でもなく、思い込みによって利便性や効率を悪化させていく身内と、この家は相性が最悪に思える。

 この家で生きていくということ自体に、光が見えない。排水口のドロドロと向き合っていたせいか、気分もそんなドロドロになってきたのだった。